月刊誌紹介
月刊誌紹介
2017年
2016年
2015年
2014年
2013年
2012年
2011年
2010年
2009年
2008年
2007年
2006年
2005年
2004年
2003年
2002年
2001年
2000年
1999年
1998年
1997年
明日への視角

政権交代への視点

佐々木 毅(学習院大学教授)

 一昨年、昨年と相次いで首相が辞任し、交代した。現首相は「私は逃げない」と言っているので、同じことにはならないと期待したい。ところでこうした出来事が起こると当該政治家の個人的資質に着目した議論が専ら行われ、それで済んだかのように取り扱われている。その結果、代わりの人材探しでお開きということになる。勿論、政治家の個人的資質や諸条件が大事でないわけではないが、この代わりを探してお開きという扱い方は些かさびしい。
  トップの政治家のこうした出処進退を考えるに際しては、政治体制の問題という観点から時には考えてみる必要がある。政治権力の運用における自民党の行き詰まりというのは政治体制の問題である。相次いで交代ということになれば、政治体制の行き詰まりという観点からこの事象を考えてもよさそうなものであるが、そうした議論が少ないのは異様である。
  少し考えてみれば分かるように、小泉政権の誕生からして行き詰まりの産物であったし、小泉政権の五年間を経ることによって、更に問題は複雑になり、厄介になった。小泉氏のように行き詰まりを逆手にとるような気力と有能さがない以上、行き詰まりが政権を蝕み続けることは避けられない。有権者がこうした行き詰まり感を直感していることもあって、支持率は上がらない。15兆円の補正予算を編成しても支持率上昇にさしたる効果がないというのは、その何よりの証左である。この全体的な衰弱感は一つや二つの政策で克服できるほど、甘いものではなさそうである。政権交代というスローガンのかつてなかった浸透は、この行き詰まり感の反映である。
  これから総選挙を迎え、政権交代が大きなテーマになることは避けられない。しかし、仮に自民党に代わって民主党が登場するということになったとしても、安倍氏の代わりに福田氏、福田氏の代わりに麻生氏が登場するのと、本当のところどう違うのか、それをどう見せるのかについては、入念な事前の検討が必要である。大臣の顔ぶれを変えるだけでは済まないし、政策を少々変えるでも済まない。政権の運用方式にまで立ち入った見直しこそが鍵になろう。

生活経済政策2009年7月号掲載