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明日への視角

「平和・緑・分権」で取り戻す

新藤宗幸(公益財団法人 後藤・安田記念東京都市研究所研究担当常務理事)

 昨年12月16日の総選挙で自民党は294議席を得て圧勝した。選挙後の評論の多くは、民主党政権のあまりのお粗末さへの反動、小選挙区制度の弊害、中小政党の分立による投票先の分散、比例区の自民党票は減少しており消極的支持、といった類だ。これらが間違っているとはいわない。だがそれらは表層でしかないのではないか。

 2011年11月の大阪府知事・大阪市長選挙の結果について、私は「1930年代前夜だ」と評した。総選挙もその延長線上だ。つまり、雇用不安の拡大、若者の将来展望の喪失にみられるような経済社会の閉塞状況は、たおやかな政治ではなく猛々しい政治をもとめる。こうした心理状況を敏感に嗅ぎ取り、「強い国家」「自己責任」「競争」を掲げた政治家・政治集団が跋扈する。それは日本も含めて現代史にみるとおりだ。

 実際、12月26日に発足した第二次安倍内閣の閣僚をみれば、首相を筆頭として新国家主義者と新自由主義者のオンパレードだ。「日本を取り戻す」と大はしゃぎだが、取り戻してもらおうではないですか。リクルート事件・佐川急便事件・金丸巨額脱税事件並みの大政治スキャンダル、「美しい国・日本」の原風景を破壊し続けた公共事業、「絶対安全」な原発の稼働・増設、ホームレスと段ボールハウスのあふれる街並み、もっといえば、「尊敬する祖父」が一役買った中国との事変……を。

 いやな時代の幕開けである。膠着状態にある上関原発阻止の祝島住民の運動にかかわる者に、私は「一発原発事故が起きたら、推進派も眼が覚めるのではないか」と「悪い冗談」を言ったことがある。だが、チェルノブイリを上回る事故を眼前にしても「懲りない面々」が大手を振るっている。いったい、この国はなんという国だと思いたくもなる。

 しかし、「取り戻す」ものが、先のような事態では困る。「小異を捨てて大同に付く」とか「オリーブの木」といったお題目はもうよい。安倍政権の行方に不安を覚えている人間は決して少数派ではない。それは金曜日の官邸前デモの元気さにも語られている。総選挙で安倍政権の誕生に危惧を抱いた政治家・政党、そして言論にかかわる者には、「平和・緑・分権」を機軸とした具体的構想をしめす責任がある。

生活経済政策2013年2月号掲載