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明日への視角

民主党の再生は「党の創り直し」で

田辺誠(社会福祉法人恵風会理事長・生活経済政策研究所顧問)

 すでに卒寿を超えた老残の私が政治の現場を離れて久しいが、昨年来の衆参両院選挙で示された民主党の惨憺たる凋落には、言葉に尽くせぬほどの口惜しさを感じている。とりわけ民主党は、せっかく念願の政権交代を成就してからわずか3年、その間に党の統合にも、国民との厚い信頼構築にも失敗して無残な姿をさらしている。率直に言うが、この党はもはや生半可な総括や反省では足りず、もう一度「党の創り直し」に挑むほどの覚悟が必要ではないか。
 わが国の社会では、階層間・企業間の格差が深刻に広がり、過密と過疎、少子高齢化などの矛盾がますます激化している。この状況のもと、多くの市民団体、勤労諸団体やボランティアの人びとが、生活と生業と雇用の安定、社会福祉の向上と安全を求めて活発な運動を展開しており、また、脱原発、基地撤去、災害の速やかな復興を要求する運動、さらには安倍政権の憲法改悪の企図に反対する運動、国内外にわたる平和友好の運動などを粘り強く続けている。それらの諸運動に蓄えられている社会的改革のエネルギーは、いまも、決して衰えてはいないのである。
 政局ではいま、野党間の連合や再編の問題が論じられているが、私はその前に、そしてそれ以上に、野党が、諸々の改革運動のエネルギーを民主的改革の力として統合し結集する課題を前提にすべきだと考えている。とりわけ民主党は、勤労国民の側にはっきりと立つ自らのアイデンティティを確立して、運動の中でその担い手たちと共に汗をかき、日常の絆を固く結ぶこと、その協働を通じて市民社会に親しみと信頼の関係を押しひろげていくことで再生の機を捉えて欲しいと思う。私はあえて「党の創り直し」を言うのは、まさに以上の意味においてである。
 私もなお、この身の許す限り、いまの社会保障の事業に献身することを通じて、国民大衆のために生きたわが生涯の意義を全うしたいと心から思っている。

生活経済政策2013年9月号掲載