3.11からの3年間をふりかえって—新たな決意—
氏家 常雄(自治労中央執行委員長)
忘れもしない、2011年3月11日。東京都本部で業務中、突然激震が襲ってきた。これが想像を絶する甚大な被害をもたらした東日本大震災だと、だれが想像できただろう。
いまだに避難を余儀なくされている約27万人のご苦労を察すると深く心が痛む。特に福島県浜通り地域は、原発事故により帰還の見通しがつかず、周辺自治体も存続の危機に陥っているのは皆さんご承知のことと思う。
また、復興・復旧予算が大幅に計上されているものの、うまく消化しきれていない。工事入札も思うようにいかない。根本的に復興・復旧の予算のあり方が問われている。
ましてや、2020年の東京オリンピック・パラリンピックの開催に向けて、多くの建設業者や資材等が東京に集中し、被災地の復興が遅れることは必至だろう。
世論の動向も気になる。事故当時、脱原発社会を望む国民が多かったが、最近は再稼働に理解を示す国民が増えてきている。被害にあった住民の3年間のご労苦を改めて認識し、何とか国民意識を取り戻す運動を強力に進めなければいけない。
政府と自治体が一体となって取り組む体制をさらに構築することも必要だ。昨年来、被災自治体で現職首長が相次いで落選したことは、復興再生を待ちわびる住民の意思を反映させたものである。首長も職員も精一杯努力を重ねてきたことは、まぎれもない事実だが、地域住民の疲労困憊は限界に達している。なにせ今後の生活の見通しが全くつかないからである。
自治労ではこの間、全国の仲間の協力を得ながら、被災地自治体組合員との連携強化を進めている。今年1月21日には、福島県内浜通り地域を中心とする10の市町村組合などと意見交換を行った。結果、2011年3月から2013年12月末まで・10市町村で(1)総計267人の職員が早期退職、(2)早期退職者の多くが南相馬市立病院の医療関係者、(3)精神疾患で休職中の職員は30人ということがわかった。第一線で住民と直接向き合う自治体職員の疲弊を物語っている。職員への心のサポート、労働条件・地方財政の確立、雇用の確保などがなければ、住民サービスにつながらないことはこの調査結果が如実に表している。
政府と自治体が一体となって3年間の行政運営を総括し、復興再生・被災住民へのフォローアップの強化が求められている。私たちは、そのことに最大かつ継続的な協力を惜しまないことを申し添えておく。
(生活経済政策2014年3月号掲載)