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明日への視角

女性差別撤廃の選択議定書批准アクション

浅倉むつ子【早稲田大学名誉教授】

 今年(2019年)は、国連が女性差別撤廃条約を制定してから40周年。記念すべき年だ。そして、日本が条約を批准してから34年もの年月が経った。果たして、この条約は、日本社会でどれほど活かされているのだろうか?
 条約を批准した国は、4年ごとに女性差別撤廃委員会(CEDAW)に報告書を提出し、CEDAWは各国政府との「対話」を積み重ねる。2016年の日本の審査の模様は、本誌234号にも紹介した。審査後にCEDAWは総括所見を公表して勧告を出すが、その勧告に拘束力はない。あくまでも「建設的対話」にすぎないからである。
 結局、勧告を受けて立法府が法改正をしないなら、差別を受けた被害者は裁判で争う以外ない。ところが日本の裁判所は、女性差別撤廃条約を裁判上の根拠規定と解していない。条約に「自動執行性」が認められないかぎり、それは法律と異なって司法審査の根拠にならない、という考えからだ。性差別をめぐる多くの裁判で、原告側は条約違反を主張してきたが、裁判所はこれらを簡単に退けてきた。これでは、条約が国内で活きているとはいえない。
 条約を活かすためにできることの一つは、条約に伴う「選択議定書」を批准させることだ。女性差別撤廃条約から20年がたった1999年、国連は、選択議定書を制定した。これを批准すれば、その国の個人は、権利侵害の事実を、CEDAWへ直接に通報できる。これが「個人通報制度」である。もし日本にこの仕組みがあれば、裁判所もむげに条約を無視するわけにはゆかない。最高裁でも救済されなかった個人がCEDAWに訴えることができるからである。
 しかし日本政府は、あくまでも選択議定書の批准に否定的だ。外務省は、CEDAWからの批准要請には「検討する」と回答しながら、長年、説明すら怠っている。すでに世界の112か国は選択議定書を批准したにもかかわらず、日本は、この点では明らかに人権後進国である。
 本年3月、日本国内で、選択議定書の批准を求める「女性差別撤廃条約実現アクション」がスタートした。多くの女性NGOがこれに参加して、国会への請願署名に取り組んでいる(https://www.facebook.com/opcedawjapan/)。女性差別撤廃条約を日本で活かすために、このアクションを何とか成功させたいものである。

生活経済政策2019年6月号掲載