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明日への視角

プログレッシブな連帯を

中野晃一【上智大学国際教養学部教授・国際教養学部長】

 今日のような政治状況のなかで、どうしたらリベラル左派のメッセージをより多くの人に届けることができるか、ずっと考えている。残念ながら、答えはまだ見つからない。日本だけでなく、世界でもまだあちこちで模索が続いているように思う。
 新自由主義が焼き尽くした焦土に、反自由主義がはびこっているのが現状ではないか。雇用や賃金の格差が人々を分断し、社会の紐帯をずたずたにしてしまった。そして、この現実から目を逸らすことを狙って繰り出される排他的な「ヘイトの共同体」幻想が、孤立した人々を誘惑する。構造改革路線を暴走し日本を壊した小泉純一郎は、靖国参拝をつづけ虚ろなナショナリズムを煽ることによって求心力を維持した。そこに安倍晋三がつづいた。
 民主党政権は、こうした流れに対してリベラルなオルタナティブを提示しようとするものだった。しかしその分裂と瓦解を経て、今や何の歯止めもない国家の私物化が7年以上も日本を蝕んでいる。それでもなお立憲野党による政権交代を待望する声はまだ広がらない。人々は希望を持つことを忘れてしまったのか。
 安倍を支えるのは「分断統治」の手法だ。野党、メディア、有権者、そして労働者を分断することによって支配する。だとすると、私たちの対抗運動は、連帯を通じて築かれるはずだ。
 連帯は、団結と同一ではない。団結は個々の労働組合や政党に必要だが、リベラル左派勢力が総がかりで戦うためには、同質性ばかりを求めても始まらない。他者性を前提とした個々人や組織が連帯してはじめて、分断統治の壁を突き崩すことができるだろう。
 世界のリベラル左派勢力が連帯の政治のカギと位置づけるのが、「ジェンダー」と「気候正義」の視角だ。これらの視角を通じて、私たち自身、そして労働運動が、不公正な経済構造を変えていく取り組みをアップデートできるかが問われている。リベラル左派勢力は本来、プログレッシブ(進歩的)であったはずだ。時代錯誤の保守反動に対して、未来を切り開く新しい連帯を語ることができるか。答えは具体的なアクションのなかにある。

生活経済政策2020年4月号掲載