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明日への視角

人口減少社会における投票率向上策

石川幸徳【日本郵政グループ労働組合中央執行委員長】

 7月10日投開票の参議院選挙が終わった。選挙結果については別に譲り、本稿では近年の低投票率を踏まえ、投票率の向上策について記したい。
■減り続ける投票所 国政選挙での投票所の数が減少し続けていることは、あまり認識されていない気がする。今回の参議院選挙は前回よりも1000ヵ所ほど減り、この20年で1割超も減った。投票所が減る要因は、人手不足にあるようだ。投票所には、立会人等を配置しなければならないが、人口減少に伴い設置が困難となり、統廃合されるケースが増えているためだ。
■ショッピングモールなど共通投票所 その一方で、増えつつあるのが大型商業施設などへの共通投票所の開設である。買い物のついでに投票ができるよう全国143ヵ所に共通投票所が設置され、前回の45ヵ所と比べて大きく増加した。
 また、高齢化や過疎化が進み、投票所を統廃合された地域では人が集まりやすい場所まで車を走らせ、車内で投票できる「移動期日前投票所」を設けるといった自治体もある。
■投票率の向上策 さて、投票率の向上策であるが、投票率を引き下げている若年層対策として電子投票の検討が進められている。JP労組もコロナ禍によりリモート併用の大会開催を余儀なくされた際に、運動方針等に対する信任投票に電子投票を取り入れた。代議員の事前登録など準備の大変さや通信環境によるアクシデントの心配はあるものの、投票の簡便さや集計の速さなどデジタルのメリットも大きく、国政選挙への導入に期待は高まる。
 また、投票率を高めるために投票を義務化する国もある。正当な理由なく投票しなかった有権者に罰金を科す制度を取り入れたオーストラリアでは投票率が90%を超えるらしいが、日本で受け入れられるかは疑問である。
 それよりも、学校教育による政治意識の向上や社会人になっても政治を身近なものとするための機会、例えば労組が開催する政治セミナーなどを通して自発的な投票行動を促せるよう挑んでいきたい。

「参議院選挙の投票所1000カ所減 19年比、人手足りず 進む高齢化、対応なお必要」
出典:日本経済新聞(2022年6月30日)

生活経済政策2022年8月号掲載