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明日への視角

「世代間連帯」のかたち

中村良広(熊本学園大学経済学部教授)

 高齢化の進行が止まらない。「団塊の世代」(1947年~49年生まれ)全体が高齢者となる翌年の2015年における高齢者数は3,395万人、高齢化比率は26.8%である(国立社会保障・人口問題研究所推計)。こうしたなかで本年8月6日、社会保障制度改革国民会議報告書が提出された。この報告書の結びは「世代間の連帯に向けて」となっている。
 「世代間連帯」とは狭くは現役世代による退職世代(高齢者)の扶養として認識されている。ここでのポイントは、現役世代が同居や仕送り等で高齢者を私的に扶養するか、それとも公的年金・介護保険等で公的に扶養するかである。「姥捨て」を論外とすれば、いずれにせよ扶養が必要であるというのが「中立命題」である。しかし、「世代間連帯」を広義に取れば、現役世代が後継世代(子ども)を扶養することもそのなかに含まれる。高齢者の扶養は公的年金というかたちで「社会化」されているのに、子どもの扶養はその大部分が親によって私的に行われる。民主党政権時代の子ども手当は、後継世代扶養の「社会化」を目指すものであったが、財源問題のために挫折した。
 ところで、今回の報告書ではOECDレポートに関連して「就労期間の長期化」が年金制度の持続可能性を高める方策の1つとして紹介されている。日本でも本年4月からいわゆる65歳定年制が施行された。これは必ずしも65歳までの雇用を義務づけるものではないことに注意が必要であるが、OECDレポートと同様の思想がこの制度の背景にある。
 興味深いことに、入学後間もない学生にこれについて意見を求めると、素直に肯定する者が大半であったが、一部に新卒学生の雇用が妨げられるとして反対する者が出た。たとえ年金保険料が上がっても、きちんと就職できた方がよいというのである。「世代間連帯」について、「年金生活に入ることで若者に職場を譲る」という側面をどう考えるのか。高齢者の社会参加や貢献はどうあるべきか。「団塊の世代」の末尾に位置する筆者としても「引き際」が気になる昨今ではある。

生活経済政策2013年12月号掲載